オススメ本　２１冊目　ハーモニー - 現役書店スタッフ芸人カモシダせぶんの「本だけ」

現役書店スタッフ芸人　ウルトラトウフ　カモシダせぶん(松竹)の面白かった本を毎日紹介。

今回はゼロ年代のSF作家

伊藤計劃の

ハーモニー

実は前に本紹介のコーナーをやる前にもこのブログでも記事にしたのですが、今回はあの時よりもっともっと沢山の人に読んで欲しいと思って書いてみます。

伊藤計劃は、デビューしてから、35才という若さで亡くなるまで、発表された長編小説は

虐殺器官と

ハーモニー

ゲーム、メタルギアソリッドのノベライズ

の三冊のみ。

この三冊とも本当に、本当に素晴らしいSF作品なのですが。

僕が特に好きなのがハーモニー

好みの問題で僕の周りでは、虐殺器官を一番に上げる人が多いです。

単に最初に伊藤計劃に触れたのがハーモニーだったからかもしれません。

あらすじを書くと

遠い未来、ほとんどの人間が感情をコンピューターシステムで完璧にコントロールされた世界に生まれた、主人公の少女の成長と、そのシステムに疑問を持った、友達の女の子が主人公に与えた影響を書き記してるお話。

この作品で僕が感じた面白さは

一行目から、え？何コレ？

から始まるワクワク感と、読みやすいテンポのいいストーリー

物凄い作り込まれてるサイバーな未来世界の感じ

そして10代ぐらいの青春期に誰しもが発してる痛々しさの描写。

最後には、どんどん出てきた謎が全て解き明かされていく気持ち良さ

そして、読み終わった後、こちらが未来について考えたくなる展開とエンディング。

どれか一個だけあっても面白い作品なのに、それが山ほど。魅力のフルーツ盛り合わせの小説なんです。

あとハーモニーが好きだったのは

僕が、攻殻機動隊が好きだったからかもしれません。近い将来、脳とかがコンピューターで調整できる時代が生きてる内に来たら自分はどうするんだろうなー。

とか思ったり、主人公とライバルの女の子の生き様がかっこ良かったり綺麗だなーと思ったりする

そんな小説です。

前にも書きましたが

去年知った、伊藤計劃が2009年に若くして亡くなってしまってる事が本当に悲しいです。もっとこの人の本読みたかったなぁ。

そんな風に思った作家さんなので、ハーモニーは勿論、是非、伊藤計劃を読んでみて下さい。SF入門としても、良いと思います。